現在、運輸局が正式に認可している福祉運送事業は「福祉輸送限定タクシー」(通称介護タクシー)と「福祉有償運送」の
2種類です。福祉輸送を目的とした運送事業者という意味で機能は同じですが、許可の目的や運用条件が異なります。
これら2種類の福祉輸送事業について、下の比較表で説明します。
※介護タクシーに関する内容は運輸局発行の「一般乗用旅客自動車運送事業経営許可申請書作成の手引き(福祉輸送限定用)」等
の記述に基づいています。
※福祉有償運送に関する内容は運輸局発行の「福祉有償運送の申請に対する処理方針」等の記述に基づいています。
名称 | 介護タクシー(福祉タクシー) | 福祉有償運送 |
---|---|---|
関連法規 | 道路運送法第4、43条等 | 道路運送法第78、79条(旧80条)等 |
概要 | 基本的には一般のタクシー事業と同じ経営許可事業 です。ただ、乗車可能な乗客や受託方法などについ て制限のある経営許可となっています。 つまり「限定付きタクシー経営許可」なのです。 福祉目的ということで許可審査内容が大幅に緩和さ れているため、個人事業者でも容易に開業できる ようになっています。 |
もともと介護事業者などが介護業務の延長で行って いた利用者さんの移送を、正式な有償行為として認 可したものです。車両などは普通の車両をそのまま 使用できるなど自由度は高いのですが、営利目的で あってはならないために、料金設定や旅客設定など には、ある程度の制限があります |
車両 | 事業用登録車両(緑ナンバー)である必要がありま す。タクシー車検特有の項目もクリヤする必要があ ります。 必ずしもスローパーなどの福祉車両である必要はあ りません。 |
自家用自動車(白ナンバー)の使用が可能です。 ですからヘルパーが普段に使用している車両をその まま使うことができます。 福祉運送に使用する車両は、すべて登録しておかな ければなりません。 |
運転手 | 運転免許は2種免許が必要です。 福祉車両を使用する場合は、介護福祉士、訪問介護 員、若しくは特定の講習を受講した者が乗務するよ うに努めなければならない、となっています。 セダン等の普通車両を使用する場合には、上記のよ うな者が乗務することが必須となります。 |
運転手は普通車1種免許でかまいません。ただ、福 祉輸送の運転に従事するためには、特定の講習を受 けていることが必要です。 |
利用者 | 障害者、要介護・要支援認定者、その他単独で公共 交通機関の利用が困難な人に限られます。 |
障害者、要介護・要支援認定者、その他単独で公共 交通機関の利用が困難な人に限られます。 また利用者は運送事業を運用するNPO等への会員 登録が必要です。 |
運用者 | 運輸業者として特定の非がなければ、運用主体者に 特に制限はありません。法人、個人を問わず誰でも 運用が可能です。 |
NPO、市町村、公益法人、社会福祉法人、医療法 人、商工会、生協など運輸局が認めた非営利団体で なければ運用することはできません。 |
運賃 | 一般のタクシーと同等です。但し、リフト車など特 殊車両を使用する場合は、それより高額になる場合 があります。 |
福祉有償運送の運賃は営業地域の一般タクシー料金 の「1/2」を目安に設定しなければなりません。 |
サービス | 基本的なサービスは一般のタクシーと同じで、個別 輸送です。乗り合いなどは認められていません。 また、移送の目的には特に制限はなく、通院などに 限らず、どのような目的でも移送することができま す。 |
基本的にドアツードアの輸送で、個別輸送、すなわ ち複数人の乗り合いではない輸送に限られます。 ただし、人工透析のための輸送、知的障害、精神障 害者の施設への輸送に関しては、運営協議会が認め た場合に限り複数旅客の運送が可能です。 |
運送区域 | 管轄する運輸支局の属する県内全域での営業が可能 です。発地もしくは着地のいずれかが県内であれば 運送が可能です。 |
運営協議会を運用する市町村が、発地もしくは着地 のどちらかに含まれる運送に限られます。 |
事業申請方法 | 「許可制」です。 事業者が運輸支局に所定の書類を提出して経営許可 の審査を受けます。 |
「登録制」です。 地方公共団体単位で運営される「運営協議会」に所 定の書類を提出し、運用の必要性や対価の妥当性に ついて「合意」してもらいます。その後、その結果 も添えて運輸支局に登録を申請します。運輸局の審 査に通れば「自家用福祉有償運送事業者」として登 録されます。 |
・運賃が安い(タクシーの約半分)
・利用するのに会員登録が必要(団体によっては会費が必要)
・ドライバー手配の関係で急な用途に対応できないことがある
・市外など遠距離の運送に対応できない場合がある