開業までのステップ

あなたにもできる開業申請の手順をご紹介します。

各書類名タイトルをクリックで全申請書類を見ることが出来ます!
(注)これらの書類は平成23年度の東北運輸局山形支局対象のもの
   ですので、実際の申請には絶対に使用しないでください


 ※下記URLで平成25年度の東北運輸局用申請書類がダウンロードできます。
  http://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/jk/jk-sub25.htm

 「介護タクシーの開業申請は難しい」と思っていませんか?
 そんなことはありません。確かに多くの書類を準備しなければなりませんが
 それほど難しいものでもないですし、特別な技術や資格が必要なわけでは
 ありません。
 少しの時間と根気があれば、あなたにもきっとできます。これから、わたし
 の経験をもとに、開業申請のステップを解説していきますので、ぜひチャレ
 ンジしてみてください。
 なお、この解説は東北運輸局での体験をベースにしていますので、地域に
 よっては若干の差異があるかもしれませんが大筋は変わりがないと思います。

■開業までの流れ

 @申請書類の入手
      ↓
 A申請書類の作成
      ↓
 B申請書類の提出
      ↓
   《運輸局による審査》**約2ヶ月間
      ↓
 C運賃料金申請
      ↓
 D法令試験・ヒアリング
      ↓
 E経営許可/運賃料金認可
      ↓
 F登録免許税納付
      ↓
 G開業準備
      ↓
    《開 業》**許可後1年以内
      ↓
 H開業後の各種届け出

それでは、上の流れに沿って解説していきましょう。

@ 申請書類の入手

 まず、申請のための書類を入手しましょう。
 書類は、あなたが開業しようとしている地区を管轄する「運輸支局」で
 入手できます。
 バスやタクシーなど運輸業の事業経営許可は、国土交通省の下部組織で
 ある各地方の運輸局が行います。東北なら「東北運輸局」(仙台)です。
 ただし、申請は運輸局ではなく、各県にある「運輸支局」で行います。
 各運輸支局の所在は下記のサイトで調べられます。
  http://www.moon-cross.com/unyu/
 たいていは支局内の「輸送課」が担当窓口になっていますので、
 事前に電話を入れて担当者にアポをとっておくといいでしょう。
 訪問の際には印鑑など特別な準備は必要ありません。
 担当の方から申請書類一式が渡され、ひととおりの説明があるはずです。
 とは言え、数十頁の書類全部をすぐに理解することは難しいでしょうから、
 まずは持ち帰り、疑問点は後に再訪問するなり電話等で問い合わせましょう。
 各書類の説明は次の項で行います。

A 各申請書類の作成

 それでは申請書類のそれぞれについて説明していきます。
 かなり数が多いのですが、ひとつひとつはそれほど難しいものではありません
 ので、焦らずにゆっくりと読んでください。
 各項目のタイトルをクリックすると、申請書類の画像が表示されます。ダウン
 ロードもできますが、実際の申請には使用しないでください

1:経営許可申請書

 これが主となる提出物で、最も重要な書類です。正式には「一般乗用旅客自動車
 運送事業(福祉輸送事業限定)経営許可申請書」というものです。
 要するに、これから介護タクシーを開業したいので許可してください、と運輸局長
 にお願いする書類です。
 お願い文章はすでに印刷されているので、申請者の名前、屋号、住所、電話番号
 などを書き込むだけです。
 申請書類の最初のページに綴じられるものです。

2:事業計画等【別紙1】

 これから運用しようとしている事業の、営業区域、営業所や車庫、それに自動車
 の仕様などを記入する書類です。内容は次のようなものです。
  ・営業区域
  ・主たる事務所及び営業所の名称および位置
  ・営業所ごとに配置する事業用自動車の数並びにその種別ごとの数
  ・自動車車庫の名称及び位置並びに収容能力
  ・事業用自動車の乗務員の休憩、仮眠又は睡眠のための施設の位置及び面積
    以上です。
 
 書類には独特の言い回しがあってちょっとわかりにくいですが、次のように理解してください。
  名称→個人事業として1営業所のみで運用する場合は、すべて「本店」
      いう名称になります。
      つまり営業所は「本店営業所」、車庫は「本店車庫」といった具合です。
  位置→位置とは「住所」のことです。ただし、東北運輸局の場合施設の位置は「住所」
     ではなく「地番」で表記しなければならないようです。地番は登記簿などで確認でき
     ます。

3:事業用自動車の明細【別紙1−2】

 営業所ごとに配置する自動車の仕様を書く書類です。
 内容は車検証と対応させて正確に記入してください。

4:添付書類

 これは「添付書類」という名称の1枚のリストで、申請書に添付する書類の
 一覧を示すものです。各項目の左にはチェックボックスがありますので、今回
 添付する書類をそこでチェックします。
 また、書類を綴じる際には、このリストの順番に沿って綴じなければなりません。

5:管理運営体制【別紙2】

 介護タクシー事業を営むにあたっての運用体制を記述する書類です。ただ、個人で
 介護タクシーを運営する場合、組織運営というのは現実的にはありえません。つまり
 自分が代表者であり、運行管理者であり、整備管理者であり、点呼実施者であるわけ
 です。したがって、ここでは各担当者名はすべて申請者の氏名を書くことになります。
 いかにも不自然ですが、お役所への提出書類として、割り切って書きましょう。

6:運転免許証(写し)

 事業用自動車を運転することになる者の運転免許証の写しです。介護タクシーは一般
 タクシーと同じ事業免許ですので運転手は二種免許が必要です。申請者自身が
 運転手になる場合は、事前に二種免許を取得しておく必要があります。

7:所要資金及び事業開始に要する資金の内訳【別紙3】

 いよいよ「事業申請」らしくなってきました。この書類では事業を開始、運営するに
 あたって当面必要な資金内容を金額で記入します。

  ・車両費(事業で使用する自動車の取得費用)
  ・土地費(同じく営業所や車庫の取得、利用費用)
  ・建物費(事務所や休憩所の取得、利用費用)
 これらは、新規に取得する場合はそれに必要な金額を書きます。分割払いで取得する
 場合は、月ごとの支払額などを書きます。月極駐車場などを利用する場合はその賃貸
 料金などを書きます。これらをすでに所有しており、費用が全く発生しない場合は、
 金額は「ゼロ」となります。
  ・機械器具及び什器備品
 介護タクシーに必要な機械といえば、自動車以外にはタクシーメータくらいでしょう。
 その他、車椅子、ストレッチャーなど比較的高額な機材購入の予定があればそれらの
 合計額を書きます。
  ・運転資金
 人件費やガソリン代、修理費用などを予測して書きます。ガソリン代や修繕費などは、
 おおまかに想定しておけばいいでしょう。
  ・保険料等
 主に自動車の取得、運用にかかわる各種保険料を記入します。もし、事業用車両としての
 任意保険契約がまだの場合は、保険会社に見積書を書いてもらう必要があります。
 最後の欄に「登録免許税」として3万円が計上してありますが、これは事業を登録する
 のに必要な費用です。必ずかかります。
  ・その他創業費等
 ちらしや、名入れタオル、名刺などを作る費用です。
  ・自己資金額
 現在準備できる自己資金の額を記入します。別途、預金口座の残高証明書も提出しなければ
 なりませんので、その残高と資金額を合致させてください。

8:資金の調達方法【別紙3−2】

 個人事業の場合は、事業用に用意している銀行口座の番号と申請日現在の残高を記入します。

9:営業所・休憩施設/車庫の案内図

 介護タクシー運営に必要な施設について、その住所や位置関係などを図で示します。Google
 マップなどをうまく利用してわかりやすく書きましょう。
 営業所と駐車場が離れている場合は、その間のおおまかな距離を記入することを忘れないで
 ください。
 この書類には特に決められた書式はありませんので、適切に作成するようにしましょう。

10:営業所・休憩施設の平面図

 営業所とは主に顧客からの予約を受け付ける場所です。
 休憩施設とは運転手が休憩する部屋です。平面図でそれぞれの配置、形状と寸法を記入します。
 これも書式は任意です。

11:自動車車庫の案内図

 事業用自動車を格納する車庫の平面図です。月極駐車場の場合は契約している駐車位置や
 寸法を記述します。
 また、案内図には車庫の出入り口も明記しなければなりません。そして、出入り口に接する
 道路と、その幅寸法も記述しておかなければなりません。この幅寸法は別途添付する「道路
 幅員証明書」に記されている寸法と一致している必要があり規定寸法以下の場合は、別途に
 手続きが必要になることがあります。
 これも書式は任意です。

12:施設の使用権限を証する書面

 営業所や車庫など、事業に使用する施設ついて、運用者つまりあなたが確実に利用できる
 状況にあることを証明する書類のことです。

 施設が自己所有の物件である場合は、その施設の登記簿謄本または登記事項証明書
 必要です。
 登記簿謄本や登記事項証明書は、その物件を管轄している法務局で発行してくれます。発行手
 数料は1000円程度です。

 施設が賃貸物件の場合は、賃貸契約書の写しと、施設所有者の「使用承諾書」が必要
 です。承諾書は決まった書式は無いので自分で作成し、所有者に署名捺印を依頼しなければなり
 ません。
   (使用承諾書サンプルはこちら)

13:宣誓書【別紙4】

 これは、事業に使用する各施設について、建築基準法や都市計画法、消防法、農地法などに
 抵触していないことの宣言です。いちいち調べることもありませんが、暇な人は役所で確認
 してみてください。

14:道路幅員証明書

 これは、前述したように車庫の出入り口に接する道路の幅寸法を証明する書類です。
 市役所の道路維持課 などが窓口になっています。自分が利用する車庫の正確な地番を
 チェックしていった方が、話がスムーズに進むでしょう。発行手数料は300円程度です。
 ちなみに、その道路が国道の場合は証明書は不要です。また、幅寸法が規定以下の場合は
 別途「通行許可証」などを土木事務所で発行してもらう必要があります。
 さらに、道路が「私道」の場合は、道路所有者の許可も必要になります。

15:車検証(写し)

 事業用車両の車検証です。この時点ではまだ事業用ナンバーは取得していないので通常
 ナンバーのままの車検証で大丈夫です。ただ、車種によっては、「タクシー車検」が
 通らない場合もありますので、車両購入の際にはディーラーで確認しておく必要があります。

16:資産目録

 事業運用に関わる資産の目録です。基本的には事業用の預金口座や営業所に使用する不動産
 などです。
 注意しなければならないのは、ここに記載された預金残高と銀行が発行する残高証明書の額、
 それに前述の資金に関する書類に記載された金額がすべて一致している必要があることです。
 書式は任意です。

17:残高証明書

 これは事業用預金口座の残高を証明するもので、銀行が発行します。ただ、これは請求した
 次の日でないと発行されない
ので、事業申請期日に余裕をもって入手するようにした方が
 いいでしょう。発行手数料は500円程度です。

18:戸籍抄本

 申請者の戸籍抄本です。市役所で交付してくれます。発行手数料は350円程度です。

19:履歴書

 これはごく一般的な履歴書です。氏名、住所、生年月日、現住所、学歴、職歴、所有資格
 などを記述します。書式は任意です。

20:宣誓書【別紙5】

 前述した宣誓書のひとつです。これは事業体の役員もしくはそれと同等以上の者
 (つまりあなた)が道路運送法上の違反などを犯して処分を受けたことがないことを
 宣誓するものです。

21:宣誓書【別紙6】

 この宣誓書は、事業者として社会保険等に加入する旨を宣誓するものです。

22:任意自動車保険の保険証(または見積書)

 文字通り、事業用自動車にかける任意保険の保険証の写しです。車両がまだ事業用登録されて
 いない場合は、事業用車両としての任意保険料の見積書が必要です。

23:運転者就業承諾書

 介護タクシー車両の運転手に就業する者の承諾書です。個人事業者で事業者自ら運転手
 になる場合でも、一応作成しなければなりません。

24:運行管理者就任承諾書

 介護タクシーの運行を管理する管理者に就任することの承諾書です。これも申請者本人だと
 思いますが、一応作成しておきましょう。

25:整備管理者就任承諾書

 事業用車両の整備を管理する管理者に就任する承諾書です。

26:指導主任者就任承諾書

 運転手の点呼などを行う指導者へ就任する承諾書です。


 以上が介護タクシーの事業申請に必要な書類のすべてになります。リストにすると大変
 そうですが、それぞれの作成はそれほど難しいものではありません。他の仕事をしながら
 暇をみつけてでも作成は可能ですので、ぜひ自分でやってみてください。
 なお、各タイトルからリンクする書類のサンプルは東北運輸局のものですが、運輸局に
 よって書類の仕様が異なる場合がありますので、実際の申請には使用しないでください。

B 申請書類の提出

 書類がひととおりできたら、いよいよ申請です。また運輸支局の担当にアポをとって
 出かけましょう。
 その前に、書類のコピーを忘れないで下さい。提出するのは原本(運輸局での審査用)と
 支局控え、それに申請者の控えの3部です。
 提出すると、その場で内容をチェックして、大きな問題がなければ、受付印を押して申請者
 控えを返してくれます。あとは審査の結果待ちです。

◆運輸局による審査

 申請書類は支局から運輸局に送られて、そこで審査されることになります。審査には
 およそ2ヶ月かかります。その間、もし書類の不備や不足があった場合は、追加作成や
 修正の指示がありますから、都度対応しなければなりません。

C 運賃料金申請

 介護タクシーの運賃料金は地方運輸局長の認可を受けなければなりません。
 運賃料金は基本的には自由に設定できますが、全く独自の料金体系で申請しようとすると
 非常に大変なことになります。その料金体系の根拠や、それで事業運営が可能であること
 などを証明する膨大な資料を、新たに作成しなければならないからです。
 運輸局では、料金申請や審査手続きを簡単にするために、支局ごとに標準の料金体系メニュー
 (自動認可運賃料金表)というものを予め用意しています。
 その中から適当なものを選択して申請すれば、ほぼ問題なく認可されるはずです。
 もし、車種(小型、中型、大型など)が異なる車両を複数台使用する場合は、適応する複数の
 車種の欄に記入します。

 提出する書類は以下の4枚になります。

 ・運賃及び料金設定認可申請書
   氏名、住所、営業区域などを記入します。
 ・運賃料金表
   自動認可運賃料金表にしたがって、自分が選択した内容
   を記入します。
 ・運賃及び料金の適用方法その1
   特に追加記入することはありません。そのまま提出します。
 ・運賃及び料金の適用方法その2
   一番下の欄に営業区域(例:山形県)を記入します。

 これらも、事業経営許可申請と同じように、コピーを含めて3部提出します。

 なお、介護タクシーの場合は、運賃料金の他に「介助料金」を設定する場合もありますが、
 これは特に運輸局の認可や登録の必要はありません。

D 法令試験・ヒアリング

 関東運輸局以外では、審査期間中に「法令試験」とヒアリングが実施されます。
 試験実施日の10日前くらいに運輸局から通知が入ります。

 1:法令試験

  これは自動車運送事業に関する各種法律の中から出題される試験で、100点満点の
  うち80点以上が合格点です。
  試験場には自動車六法などの持込もできますが、あらかじめある程度の勉強はしておか
  ないと、スムーズな回答はむずかしいでしょう。
  下記サイトに、最近の試験問題がありますので、参考にしてください。ただし、これは
  個人タクシー用の試験問題ですので、全てが関係するわけではありません。

   「日個連 東京都営業共同組合 最近の試験問題」

 2:ヒアリング

  すでに提出してある事業許可申請書類にそって、内容の確認や書類の不足などのチェック
  をします。記入内容に間違いや不足があった場合は、書類の修正や追加を指示されます。

E 経営許可/運賃料金許可

 申請から約2ヶ月で審査が終わり、問題がなければ許可がおりることになります。
 運輸支局から連絡が入りますので指定された日時に支局に行き「経営許可書」「運賃料金認可書」
 を受け取ります。
 引き続き、開業に関する説明と、開業後の報告書等について説明があります。

 また、事業開始の許可がおりましたので、車両を事業用として登録することができます。
 そのために「事業用自動車等連絡書」という書類を発行してもらいます。
 車両を事業用として登録する際には、この書類を提出しなければなりません。

F 登録免許税納付

 道路運送事業の許可を受けると、「登録免許税」という税金を国に納めなければ
 なりません。運輸局から「納付通知書」が送付されてきますので、
 それにしたがって納付します。
 金額は3万円です。(平成24年現在)
 納付は同封の「納付書」を使い、郵便局などで納めます。
 そして、受け取った領収書を、「登録免許税領収書届出書」に貼付して、運輸局に返送します。

G 開業準備

 経営許可が下りてから、1年以内に開業(運輸開始)をしなければ、許可は無効となります。
 しかし、許可が下りたからと言って、すぐに開業できるわけではありません。開業に先立って、下記の
 ような準備が必要です。

  ・車両の事業用登録(タクシー車検を伴う)
  ・タクシーメーターの設定、検定
  ・表示、掲示物の準備
  ・施設その他の準備
  ・ドライバーの適性検査
  ・指導主任者選任届出
  ・任意保険の加入

 1:車両の事業用登録

  タクシーに使用する自動車は、当然ながら「自家用」ではなく「事業用」車両としての
  登録が必要です。しかも、タクシーとして使用する場合は、タクシー用車両としての車検
  を受けなければなりません。
  タクシー用の車検のとしての特殊な検査項目には、助手席と後部座席との間隔が20cm以上で
  あること、ドア付近に開閉方法を示す表示があること、ヘッドレストに十分な強度があることの
  証明書がある、などです。

  また、事業用ナンバー(緑、または黒ナンバー)を取得する際には、Eで説明した「事業用自動車等
  連絡書」
を提出しなければなりません。

 2:タクシーメーターの設定と検定

  運賃算出にタクシーメーターを使用する場合は、認可された運賃体系の内容で、タクシー
  メーターを設定しなければなりません。これは、メーターのメーカー営業所、または代理店
  などに依頼します。
  また、設定が終わったら、公的な検定所に持ち込んで、検定を受けなければなりません。
  初期費用はメーターのソフト設定料が2万円ほど。検定所での検定料は4000円程度です。
  検定は毎年1度受けなければなりません。

 3:表示、掲示物の準備

  タクシーの開業に際して、様々な「表示」や「掲示」が」義務付けられています。これらは
  開業後に提出する開業届に写真を添付し、実施状況を報告しなければなりません。
    ・車体表示:「事業者名」「福祉輸送車両 限定」
    ・車内掲示:「運賃料金体系」「事業社名、運転者名」「運賃割増」「小型・初乗り運賃」
    ・事務所内掲示:「運送約款」「運賃料金適用方法」
  などです。これらは、表示仕様(用紙や文字サイズ等)が決められていますので、それにした
  がって制作、掲示します。

 4:施設その他の準備

  事業に使用する各施設を準備します。事務所や駐車場の手当ては開業申請時に済んでいるはず
  ですが、実際に事業に使用するとなると、いろいろな準備が必要です。
    ・電話機、FAX,パソコン、プリンタなどの事務機器
    ・領収書、ファイルなどの事務用品
    ・名刺、社判、角印
  その他パソコンには経理ソフトや顧客管理用のソフトなども必要になります。

 5:ドライバーの適性検査

  タクシーのドライバーに選任された者は、業務に就く前に適正検査を受けなければ
  なりません。これは「独立行政法人自動車事故対策機構」という団体が行う
  ものです。診断にはいくつか種類がありますが、初めて就業する場合は「初任診断」
  を受けることになります。
  最寄の機構支所に連絡をして、診断を予約します。
  ちなみに「初任診断」の診断料は4600円です。
  この診断は「合格・不合格」を求めるものではなく、本人の「運転特性」を分析し、
  安全運転に役立てることを目的としています。
  診断には1時間以上かかります。終了すると、集計されたデータをもとに係員から「指導」が
  あります。それで終了です。

 6:指導主任者選任届出

  営業区域内の地理や、旅客及び公衆に対する応接について指導する責任者を決めて、
  適切な指導をしなければなりません。その指導主任者を選任したことを届け出る書類が
  「指導主任者選任届出書」です。
  この書類に、あなたの事業所で指導主任になる人の氏名を書いて届け出ます。
  とは言っても、個人事業者の場合は自分以外に人材がいるわけではないので、届出者
  氏名も指導主任者名も自分の名前を記入することになります。

 7:任意保険の加入

  開業申請のときに、加入予定の自動車任意保険を準備していたはずなので、経営許可が
  下りて、車両も事業用登録が済んだら、その内容にしたがって本契約を行います。
  また、自動車保険とは別に、介助中の事故でお客様やお客様の財産に損害を与えてし
  まった場合に備えて「損害保険」に加入しておく必要があります。自動車保険を
  お願いした保険会社に相談してみるとよいでしょう。この事業用の損害保険は共済型で
  保険料が年間数千円程度の安いものがあります。

◆ 開 業

 これでいよいよ開業となります。運輸局的な言葉で言えば「運輸開始」です。どのタイミング
 を「開業」というのか、それは自分で勝手に決めればいいだけです。「今日から開業します」と
 言えば今日が開業日(運輸開始日)になります。
 せっかくですから、覚えやすい日とか、大安日にでもすればいいでしょう。
 この日が、介護タクシーの「開業記念日」となります。

H 開業後の各種届け出

 開業したら、しっぱなしでいいわけではありません。開業後に下記の届出をしておかなければ
 なりません。営業活動に夢中になって、この届出を忘れていると、後にやっかいなことになります
 ので、きちんとやっておきましょう。
 (以下は介護タクシーを個人事業者として運用しようとする場合の届出内容です。会社運用等
  の場合とは異なりますのでご注意ください。)
   ・運輸開始届出(運輸支局)
   ・個人事業開業届出(税務署)
   ・所得税の青色申告承認申請(税務署)

 1:運輸開始届出

  許可を受けた運輸事業を開始したら、その旨を運輸開始後1ヶ月以内「運輸開始届出書」
  によって、運輸局に届出をしなければなりません。
  届出書には下記の資料を添付します。
    ・車両の写真(前、後、両側面)
    ・営業所・車庫の写真
     (営業所は運送約款、運賃表などの掲示状況も写っていること)
    ・車検証(写し)
    ・任意保険証書(写し)・・・両面
    ・乗務員台帳(写し)
    ・乗務員の運転免許証(写し)・・・両面
  その他、就業規則、労働保険/保険関係成立届等の添付も記されていますが、個人事業者の
  場合は免除されるようです。
  「乗務員台帳」というのは運転手一人一人の明細を記述したものです。この書類については
  決められた書式は無いため、要点を網羅して自分で作成することになります。

 2:個人事業開業届出

  個人事業者になると、サラリーマンと違って、税金申告はすべて自分で行わなければなり
  ません。そのときに、どういう収入区分で行うかを税務署に申告しておく必要があります。
  ここでは個人事業として運用する場合を想定して、その書式を紹介しておきます。
  「個人事業開業届出書」は最寄の税務署で入手できます・
  なお、この書類は「事業の開業、休業、廃業届」を兼ねています。

 3:所得税の青色申告承認申請

  個人事業者の所得は「事業所得」として確定申告を行うことになりますが、申告方法に
  よって白色申告と青色申告があります。
  簡単に言うと、白色申告では所得が300万円以下では記帳の必要はなく、最終的な決算額
  を申告するだけですが、青色申告では、総勘定元帳やら仕訳帳やら固定資産台帳などを記帳して
  おかなければなりません。一見面倒そうですが、その代わりに青色申告では65万円の特別控除が
  受けられたり、赤字損失分を3年間繰越できるなど、特典があります。ほとんどの個人事業者は
  青色申告を選択しています。ただ、青色申告を行う場合は事前に「青色申告承認申請書」を提出
  しておかなければなりません。これも、最寄の税務署にあります。
  ちなみに、様々な帳簿作成は面倒なようですが、青色申告専用の経理ソフトを使って、毎日の
  入出金さえきちんと入力していれば自動的に申告書類を作成してくれますので、心配はありません。



 開業後は、どれだけお客様がつくか、それはあなたの努力
 次第です。最初はなかなか仕事もありませんが、辛抱強く
 営業活動を続けましょう。